大韓航空乗務員「北極航路で宇宙放射線に被ばくし白血病に」
HANKYOREHの記事より
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30846.html
国内の乗務員では初めての血液ガン労災申請
専門家「業務-災害の因果関係高い」客室乗務員の放射線平均露出量
原子力発電所従事者の4倍大韓航空の乗務員。7年間飛行機に乗り2015年に急性骨髄性白血病と診断され骨髄移植を受けたが、免疫疾患合併症である慢性移植片対宿主疾患で苦しんでいる。身長は173センチだが体重は39キロしかなく、全身に黒い斑点が出ている=キム・ジンス『ハンギョレ21』記者//ハンギョレ新聞社大韓航空乗務員が国内の航空乗務員では初めて血液ガンで労災申請をした。北極航路を運航する時にさらされる宇宙放射線などが原因である可能性があるという指摘が出ている。
大韓航空の客室乗務員だったK氏(34)が11日、急性骨髄性白血病で勤労福祉公団に労災申請をした。K氏は「家族歴もなく、発病前に受けた健康診断でも何の異常もなかった」として、乗務員勤務当時、北極航路を通過する際の宇宙放射線被ばくを主な発病原因と推定した。ソウル聖母病院職業環境医学科のカン・モヨル教授もまた、「業務関連性評価所見書」において「航空機乗務員の場合、相当な程度の宇宙放射線にさらされ、それによって白血病を始めとするガンの発生危険が高まる」とした上で「被災者(K氏)の業務と災害の発生には相当な因果関係があると判断する」と明らかにした。 所見書には、検索台を通過するたびにX線検査により放射線をさらに浴びる点、国際ガン研究所の2級発ガン物質と知られる夜間・交代勤務と生体リズムを害する不規則な業務環境、機内のよどんだ空気、感情労働なども、発病危険要因としてさらに提示されている。
K氏は2009年10月に大韓航空に入社し、2015年7月に発病するまで米州・アジア・ヨーロッパなど世界各地に5518時間飛行したが、米国の飛行時間が合計1776時間で最も長かった。大韓航空はニューヨーク・ワシントン・シカゴ・アトランタ・トロントなど米国やカナダ東部から韓国に戻る時、北極航路を利用する。北極は地球で宇宙放射線が最も強い地域で、北極航路を一回通過するたびに乗務員は胸部レントゲン検査を一回受けるくらいの放射線量(0.1ミリシーベルト(mSv))を浴びる。
航空会社乗務員の放射線露出量は、一般人の線量限度である年間1ミリシーベルトの二倍を越え、放射線を扱う非破壊検査員(1.7ミリシーベルト)や原子力発電所従事者(0.6ミリシーベルト)より高い。韓国原子力安全財団が国内航空会社の乗務員を対象に2015年の一年間に浴びた放射線量を分析した結果、客室乗務員の平均放射線露出量は2.2ミリシーベルトであった。
特に大韓航空の客室乗務員の場合、平均宇宙放射線被ばく量が国内航空会社のうちで最も高い。路線数が多く、北極航路をたくさん利用するためと見られる。原子力安全委員会が2018年2月に作成した「2017年生活周辺放射線安全管理実態調査結果報告書」によれば、大韓航空客室乗務員の平均宇宙放射線被ばく量は2.88ミリシーベルトだった。これに対しアシアナ航空客室乗務員は1.78ミリシーベルト水準で、イースター航空は1.51ミリシーベルト、チェジュ航空は1.12ミリシーベルト、ジンエアーは0.98ミリシーベルト水準だった。
宇宙放射線にさらされた乗務員のガン発生率がどれくらい高まるかは現在研究が進行中だが、北欧や米国などでなされた航空乗務員の調査で、一般人より乳ガン・皮膚ガン・前立腺ガン・急性骨髄性白血病・脳ガンなどの発病率が高いという研究結果が報告されている。
大韓航空が乗務員に宇宙放射線の危険性をちゃんと知らせていない可能性も提起される。大韓航空関係者は「年間累積被ばく量が5ミリシーベルトを越えた乗務員は、6ミリシーベルトを越えないように航空日程を調整する」として、「乗務員の個人情報保護のために被ばく量は公示せず、代わりに航空医療センターに要請すれば各自の被ばく量を確認することができるという内容をオン・オフライン教育のたびに伝えている」と明らかにした。 しかし、K氏は「自分の被ばく量を確認したことはなく、会社から確認するようにと教えてくれたこともない」と話した。
ピョン・ジミン『ハンギョレ21』記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)