「しんさいニート」 を読んで。
「しんさいニート」を読みました。
東日本大震災によって大きく人生の歯車が狂ったカトーさん、そのカトーさんの自伝的エッセイ漫画です。
内容はエッセイなので軽いかなと思いきや、カトーさんの告白は重いです、しかし漫画なので重さが半減している感じです、漫画でなくて文章だけだったら印象が違ったかもしれません。
福島で普通の生活をしていたカトーさんが、震災によって移住、転職などを経てうつになり、それを克服していく過程が克明につづられています、何とも克明に、発した発言の背景や心情、幼少期の心に(父との確執により)自らはめたタガに苦しみ、過去の恋愛を引きずり、それでもバンド仲間やカウンセラーに助けられて前に進んでいく姿は、勇気を与えられます。
おもしろくて一気に読みましたが、読後感は「カラマーゾフの兄弟」を読んだ時ぐらい充実感がありました、人生に悩める若者に進めたいです、下手な哲学書を読むより心に刺さるのではないでしょうか。
印象に残ったのは、カトーさんが福島第一原発の爆発により逃げるとき、地震にあった時を軽く飛び越える恐怖と緊迫感だったと言ってあったことです、生きるか死ぬかの思いで過ごしてあった、そしてそのような思いで過ごしていた福島やその周辺の方々がたくさんいたという事実は忘れないようにしたいと思いました。