人間と環境への低レベル放射線の脅威を読んで

人間と環境への低レベル放射線の脅威を読んで

本の内容は、

1、生態学的考察

2、原子爆弾と原子力発電所(生物学的影響)

3、森林の死と放射能

4、基本的な社会政治的影響

5、あとがき

から構成されている。

地球上の生命(植物、動物、人類)の生態系の説明から始まり、原子の構造、放射線の説明などの核物理学の基礎、そしてその放射線が環境に及ぼす影響へ話が及んでいく。

放射線の知識がない方でも充分わかりやすい構成になっていると思った。

ぺトカウ効果とバイスタンダー効果(下に説明書いています)に関しては、一般の方には知られていない事象であり、被ばく線量が少なければ身体へのダメージも少ないとの常識もひっくり返る可能性もある。放射線量の測定をしている私としては、意味のないことをしている可能性だってあるかもしれない。今後解明されることに期待したい。

その他、印象に残ったことは、ストロンチウムとエイズの関係、(ストロンチウムの骨への沈着により骨髄細胞がダメージを受けてエイズの要因になるとの事である。)

作者のラルフ・グロイブ氏が「ラドン温泉には決して行かない」との言葉や、もう一人の作者のアーネスト・スターングラス氏のアインシュタイン博士との交流のエピソードなどである。

昨今、100mSv以下の低線量被爆は影響がないとの説も多いのですが、この本を読むと、どちらが正しいのかわからなくなります。

ぺトカウ効果:「液体の中に置かれた細胞は、高線量放射線による頻回の反復照射よりも、低線量放射線を長時間、照射することによって容易に細胞膜を破壊することができる」という現象である。「長時間の低線量放射線被曝の方が短時間の高線量放射線被曝に比べ、はるかに生体組織を破壊する」等とも表現され、また、文脈によりペトカウ理論、ペトカウ実験等と用いられることもある。

バイスタンダー効果: 電離放射線(以下において放射線と表記)を直接照射された細胞だけでなく、その周囲の直接照射されていない細胞(バイスタンダー細胞)にも放射線を照射された影響がみられる」という現象である。バイスタンダーとは、「傍観者(bystander)」の意味である。199211月にハーバード大学NagasawaLittleによって世界で初めて報告された。

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